野間は歩きながら考えた。
殻をかぶっている。 患者さんとの間に壁をつくっているということだろうか。けど、 相手を嫌な気持ちにさせたくないというのがなんでいけないんだろ う。
殻をかぶっている。
相談室に戻る途中、心理室の前を通ったら、福田が立っていた。 それも、不自然に突っ立っている。不思議に思い、 声をかけずに通り過ぎようとしたら、固まったまま目も向けず、 急に喋りだした。
「おほん。君は自分が傷つくのが怖いだけじゃないのかね。人と向き合うということは、すなわち自分と向き合うということなのだよ。」
えっ!と驚いて福田を見ると、「以上。 なおこのテープは自動的に消滅する。ドッカーン!」 っと大げさに叫んで、冷静な顔で心理室に入っていった。
「おほん。君は自分が傷つくのが怖いだけじゃないのかね。人と向き合うということは、すなわち自分と向き合うということなのだよ。」
えっ!と驚いて福田を見ると、「以上。
野間はあっけにとられた。
しかし、「自分が傷つくのが怖いからじゃないのか。」 と確かに言われた。そしてそれが、 ぎゅっと心臓を鷲掴みにしたのも確かだ。人に嫌われたくない。そういう気持ちが自分は強いのかなぁと思ったことはある。しかし、何とはなしに流してきた。それで何とかなってきた。
しかし、「自分が傷つくのが怖いからじゃないのか。」
けど、精神保健福祉士として人を支援していくには、そうはいかない。
野間は、気分を害したとしても、 ちゃんと小林にぶつけてみよう。そう思った。
病棟に小林はいなかった。探したがなかなか見つからない。 院外に出たのだろうか。
半分諦めながら歩いていると、不意に小林を見かけた。 小林がいたのは、例の病院の大きな墓の前だった。
野間は、すぐには声をかけず、何をしているのか遠くから見守っていた。しかし、小林は手を合わせるでもなく、ただ佇んでいるだけだった。
それでも、なんだかその厳粛な雰囲気にのまれ、 野間は近づこうにも近づけずにいた。
半分諦めながら歩いていると、不意に小林を見かけた。
野間は、すぐには声をかけず、何をしているのか遠くから見守っていた。しかし、小林は手を合わせるでもなく、ただ佇んでいるだけだった。
それでも、なんだかその厳粛な雰囲気にのまれ、
(つづく)
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