リッチモンドは、言わずと知れた“ケースワークの母”と呼ばれる人物である。精神保健福祉士が行う援助技術の一つであるケースワークを最初に体系づけたとされている。
ただ、その最初に体系づけた内容は、『社会診断』という著書にまとめてあるが、これが非常に分厚く理解しやすいものではない。いわゆる硬い専門書。
そして、その後、数年ぐらいしか違わない時期に出されたのが、この『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』である。
この著書は、『社会診断』に比べて、事例を多用するなど、非常に読みやすく書かれている。リッチモンド自身も「入門的に記述した」と述べている。
もちろん、リッチモンドを読むべきだと推薦する理由は、“最初に体系づけたから”、“読みやすいから”ということだけではない。その内容がケースワークの姿を的確に述べているからである。
それは、数々のケースワーク発展の歴史の中で、度々叫ばれた「リッチモンドに帰れ」という言葉がそれを示しているであろう。
※ 精神保健福祉士教員です。
読んでいただきありがとうございました。
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