2013年9月17日火曜日

推薦図書:ルポ・精神病棟

 この本を最初に知ったのは、精神保健福祉士の専門学校で、講師の先生に紹介していただいた時です。非常に歴史的な本なので一度は読むようにと勧められました。

 勉強すると、確かに精神科医療に大きな問題を投げかけた一冊であることを知りました。
 内容的には、“衝撃的”の一言でした。活字ですら、目をそむけたくなるような事実。
 私はすでに精神科病院で働いていましたが、精神保健福祉士ではなく、あまり病棟に入る機会もありませんでしたから、最初に読んだときは、確かに精神科病院に対する恐怖を感じました。

 ただ、この本の出版は、1981年です。「現在では、もう改革されてこんなひどい病院は無い」という人もいるようで、それに対して「ここに書かれている危険性は今も変わらない」と主張する人もいます。
 私も基本的には後者の意見の側に立ちますが、加えて、私がこの本を貴重と思うのは別の理由があります。
 それは、現在入院している長期入院患者さんたちがそのような精神科病院での処遇を経験した可能性がある点です。その意味で、ここに書かれている内容は“まだ生きている”と思います。
 ぜひ、精神保健福祉士を目指す人には読んでいただきたい一冊です。










※ 精神保健福祉士教員です。
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2013年4月9日火曜日

推薦図書:メアリー・E・リッチモンド著『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』

 今回推薦するのは、リッチモンドの著書である。
 リッチモンドは、言わずと知れた“ケースワークの母”と呼ばれる人物である。精神保健福祉士が行う援助技術の一つであるケースワークを最初に体系づけたとされている。

 ただ、その最初に体系づけた内容は、『社会診断』という著書にまとめてあるが、これが非常に分厚く理解しやすいものではない。いわゆる硬い専門書。

 そして、その後、数年ぐらいしか違わない時期に出されたのが、この『ソーシャル・ケース・ワークとは何か』である。
 この著書は、『社会診断』に比べて、事例を多用するなど、非常に読みやすく書かれている。リッチモンド自身も「入門的に記述した」と述べている。

 もちろん、リッチモンドを読むべきだと推薦する理由は、“最初に体系づけたから”、“読みやすいから”ということだけではない。その内容がケースワークの姿を的確に述べているからである。
 それは、数々のケースワーク発展の歴史の中で、度々叫ばれた「リッチモンドに帰れ」という言葉がそれを示しているであろう。












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2013年3月12日火曜日

推薦図書 : 尾崎新編「『ゆらぐ』ことのできる力」

 本書は、精神保健福祉士を含めたソーシャルワーカーの現場実践の本質を「ゆらぎ」という観点から、実際の事例をもとにまとめられたものです。
 精神保健福祉士として現場に出ると誰もが体験する、この「ゆらぎ」を正面から捉えているため、より実践的な学びが得られるでしょう。
 そして、その学びが、精神保健福祉士の魅力ややりがいを皆さんに示してくれるものと考え、推薦させていただきます。

 
 








 

2013年1月29日火曜日

推薦図書:バイステック著『ケースワークの原則』


 この本を最初に目にしたのは、専門学校の先生から、授業以外の勉強会として文献講読を提案していただいた時でした。
 
 先生は、「教科書だけでは十分ではない。もっと踏み込んで学ぶべき」として入門的に紹介してくださいました。

 私たちは、章ごとに担当を決め、レジュメを作ってきて発表し、疑問点を出し合って議論していきました。
 議論はいつも活発でした。
 「ここにこう書いてあるけど理解できない」「ここはこうじゃないのかなぁ」「いや違う。ここで言っているのはこういうことじゃないかと思う」
 書かれてあることが正しいということを前提に読むのではなく、時には批判的に読みこんでいき議論する。
 そうして、最後には書かれてあることに納得してしまいます。
 納得した時、感動することさえ私には珍しいことではありませんでした。

 本は読んだことはなくても、教科書には必ず載っていますから、ほとんどの精神保健福祉士はこの著者の名前を知っています。それほど有名なのです。
 けど、教科書にかかれてある概要しか知らない人も少なくありません。それだけでは不十分です。
 ちゃんと一冊読むべきです。手元に置いて、読み返していくべきだと思います。
 私自身の精神保健福祉士としての実践を振り返っていくと、この本に如何に影響を受けていたかを実感します。

 精神保健福祉士になるための入門書としては最適な本だと思います。ぜひご一読ください。