あれから一週間。
第二回目のグループワーク、一歩の会の日が来た。 担当は作業療法士の星原。
順番を決める時、「俺だ俺だ」とうるさいのでみんなが譲った。
第二回目のグループワーク、一歩の会の日が来た。
順番を決める時、「俺だ俺だ」とうるさいのでみんなが譲った。
結局、小林は来なかった。朝の検温の時に声をかけたら、「はい。 行きます!」とはっきりと答えていたのに。
会自体は上手くいった。人前に出るのが好きな星原は、 場慣れしているようで、ジョーダンを交え、 うまく盛り上げながらすすめていた。
しかし、野間は、小林のことで頭が一杯だった。
しかし、野間は、小林のことで頭が一杯だった。
終了後、星原から「どうだ! 上手く行っただろ。」と言われたが、 持ち上げる言葉は言えなかった。
野間は、小林が2回も、 来ると宣言しておきながら来なかったことで、 また裏切られたような気がして怒りを感じていたからだ。
野間は、小林が2回も、
察したように星原が言った。
「小林さんは来なかったな。」
「ああ。朝の検温でも、来るって言ってたんだけどなぁ。」
「なんで来ないんだって、聞いておこうか?」
「いやいや。どうせこの後に病棟行くからいいよ。」
「小林さんは来なかったな。」
「ああ。朝の検温でも、来るって言ってたんだけどなぁ。」
「なんで来ないんだって、聞いておこうか?」
「いやいや。どうせこの後に病棟行くからいいよ。」
野間は、星原に任せるときつく言いそうだったし、 自分で聞かなくてはとは思っていたので慌てて答えた。
病棟に行くと、フロアーに小林がいた。また、 一人でテレビを見ている。
「こんにちは。」野間が声をかけると、 また慌てることなく落ち着いて答える。
「こんにちは。一歩の会が終わったんですね。」
「はい。今回も欠席でしたが、体調が悪いのですか。」
「ええ。申し訳ありません。けど、もう大丈夫ですので。」
そう笑顔で答える。
「こんにちは。」野間が声をかけると、
「こんにちは。一歩の会が終わったんですね。」
「はい。今回も欠席でしたが、体調が悪いのですか。」
「ええ。申し訳ありません。けど、もう大丈夫ですので。」
そう笑顔で答える。
また野間は、その笑顔に違和感を持った。
そのため、“聞くのは今だ”そう思った。しかし、 聞いて嫌な思いをさせないか。そう思うと躊躇する。
前回と同じように、散歩に行くために立ち上がろうとする小林。
“自分の殻を破る”、“自分が傷つくのが怖いだけ”。 その言葉が脳裏をよぎった。と同時に、野間は声を発していた。
「どっ、どうして。どうして、 そうにこにこしていられるのでしょうか。 怒っているわけではありません。 怒っているわけではありませんが、ただ不思議な気がします。 不思議な気が。」
野間は、自分の表情が小林に、 怒ったように見えないように意識し、小林の言葉を待った。
小林は笑顔のままで表情を変えずにこう言った。
そのため、“聞くのは今だ”そう思った。しかし、
前回と同じように、散歩に行くために立ち上がろうとする小林。
“自分の殻を破る”、“自分が傷つくのが怖いだけ”。
「どっ、どうして。どうして、
野間は、自分の表情が小林に、
小林は笑顔のままで表情を変えずにこう言った。
(つづく)
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