精神保健福祉士は二重拘束を受ける存在だ。 精神障害者の側に立って、精神障害者のために働くということと、 病院の職員として、病院のために働くということ。
この二つの立場であるがゆえに、 相反することを求められることがある。
その最たるものが、患者の退院支援だ。
この二つの立場であるがゆえに、
その最たるものが、患者の退院支援だ。
野間は、岩田に愛想笑いを返して答えた。
「はい。忙しいですね。 やらなきゃいけないことが雪崩のように押し寄せてきます。」
「そうか。雪崩のように、は良いね。そういえば、 君のボスが相談室に人を増やしてくれって言ってきてたなあ。 うちも経営が楽じゃないからさ。苦しいんだけど、 入院患者が減ったりしなけりゃあ大丈夫だろうと思うよ。 減らなきゃあね。」
野間ははっとした。 野間が長期入院患者の退院促進を意図したグループワークを始めよ うとした矢先。それを牽制するような発言。
さらに、「民間病院は慈善事業じゃないんだから。」 といつもの決まり文句も出た。
野間は、面倒なので、軽く流すことにした。
「そうですね。」そう言って、一方的に机に向かった。
岩田は、一呼吸おいて、釘を指すように「病院のためによろしく。 」と言い放って出ていった。
「はい。忙しいですね。
「そうか。雪崩のように、は良いね。そういえば、
野間ははっとした。
さらに、「民間病院は慈善事業じゃないんだから。」
野間は、面倒なので、軽く流すことにした。
「そうですね。」そう言って、一方的に机に向かった。
岩田は、一呼吸おいて、釘を指すように「病院のためによろしく。
ふっと一息つくと、ぬっと隣の机の下から先輩が出てきた。
「やっと出ていったか。」
「わっ!どこにいたんですか!」びっくりして野間が言うと、「ここにいました」といたずらっぽく笑った。
「だって、あのソロバン野郎が相談室の中を覗き込むからさぁ。隠れたのよ」
「そうでしたか。けど私が入ってきたら声はかけてもいいじゃないですか」
「え~~っ。それじゃつまらないじゃない。てへぺろ。それに、ソロバン野郎が入って来たから出られなかったのよぉ。」
「やっと出ていったか。」
「わっ!どこにいたんですか!」びっくりして野間が言うと、「ここにいました」といたずらっぽく笑った。
「だって、あのソロバン野郎が相談室の中を覗き込むからさぁ。隠れたのよ」
「そうでしたか。けど私が入ってきたら声はかけてもいいじゃないですか」
「え~~っ。それじゃつまらないじゃない。てへぺろ。それに、ソロバン野郎が入って来たから出られなかったのよぉ。」
(つづく)
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