「野間君。僕ってさぁ。医者だよね。どう思う?僕のこと?」
唐突な問いで野間は躊躇した。
「えっと。えっ?」
「いや、さあ。医者になるためにはさ、 何百万どころじゃないお金がかかるよね。ってことはさ、 お金待ちの家に生まれないとなれない。極端に言えばね。」
「はぁ」
「医学部への入学もさ、人が遊ぶ時間にも、 寝る間を惜しんで勉強してさ、 入学しても6年もああだこおだとやるわけだ。だから、 少なくても10年ぐらいはまともな生活できないんだよね。 その頃にはボロボロよ。」
「はぁ。大変ですね。」
「大変ってもんじゃないね。ホント。だからリタイアする奴も結構いるのよ。」
「はぁ。そうですか。」
「けど、それをくぐり抜けた人が医者になれるわけ。希望者からいえばほんの一握りの人間だよ。分かる?」
唐突な問いで野間は躊躇した。
「えっと。えっ?」
「いや、さあ。医者になるためにはさ、
「はぁ」
「医学部への入学もさ、人が遊ぶ時間にも、
「はぁ。大変ですね。」
「大変ってもんじゃないね。ホント。だからリタイアする奴も結構いるのよ。」
「はぁ。そうですか。」
「けど、それをくぐり抜けた人が医者になれるわけ。希望者からいえばほんの一握りの人間だよ。分かる?」
「ええ分かります。」
「つまりよ。僕はその一握りの選ばれた人間だってわけ。そうでしょ。ねっ!」
野間は何だか自慢話を聞かされているようで辟易してきた。
「実際さぁ。医者だって言えば、みんなすごいって言うよ。金もがっぽりで、女はほっておかないしね。」
野間はあいづちするのも面倒になってきた。しかし、山崎先生は一向に気にせず続ける。
「もちろん。元からハンサムだっていうこともあるがね。あはっあはっあはっ。」
うんざりして、野間は、“ウナギ犬みたいな顔して”っと心の中で悪態をつく。
そして、もう我慢できないと思い、グループワークの話を強引にしようと思った時だった。
山崎先生が立ち止まって、一転、悲しい表情になった。そして、こう続けた。
「僕は患者を殺した。この手でね。」
(つづく)
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