一旦去ったが、やっぱり気になる。あの立ち去った影は、 山崎先生ではないのだろうか。
あの時、その場の患者に聞いたら、「ここに患者はいなかった」 と答えた。しかし、もしそこにいたのが山崎先生なら、 確かにそう答えるだろう。
あの時、その場の患者に聞いたら、「ここに患者はいなかった」
野間は、急いでさっきの売店に戻った。
そして、今度は、 離れた場所から患者が集まっているところを観察した。
じっとその森を見ていると、やけに真新しいスニーカーが見えた。 年配者が多いので、スニーカーを履いた患者は珍しくなかったが、 こんなに新しいのは買ったらすぐに目につく。最近、 スニーカーを買った患者はいない。
そして、今度は、
じっとその森を見ていると、やけに真新しいスニーカーが見えた。
野間は、患者の集まる場所にそっと近づく。 そのスニーカーから目を離さず。
近づくと、その表情、立ち振る舞い、服装、雰囲気。 どれをとっても患者にしか見えない。まさに同化している。しかし、山﨑先生だ。
近づくと、その表情、立ち振る舞い、服装、雰囲気。
野間は、患者と同化した山崎先生に声をかけた。
「先生」
山崎先生はすぐには反応しなかった。しかし、 じっと視線を外さずに待っている野間に観念したのか、「おっと。 野間君じゃないか。どうしたの?」と平静をよそおって答えた。
「グループワークについてお話させてください。」
「うん。うん。まあちょっと話そう。」
そう言って、腰を上げ、歩きだした。野間も並びついていく。
「先生」
山崎先生はすぐには反応しなかった。しかし、
「グループワークについてお話させてください。」
「うん。うん。まあちょっと話そう。」
そう言って、腰を上げ、歩きだした。野間も並びついていく。
少し歩くと、小学校の体育館程度の広さのやや広めの広場がある。適度に緑があり、草や土のにおいがする。
「ここは本当に変わらない。頑なに変わることを拒んでいる。そうも思えるなぁ。何十年と変わらないというのは私みたいだ。あはっあはっあはっ」
「変わらない、ですか?」
「うんそう。そういえば、どうして僕があそこにいるってわかったの?」
やっぱり隠れていたな、と思いながら、野間はスニーカーの話をした。
「おっとそうかぁ。気合入りすぎたか。」
「え?」
「あっ、いや、なんでもないよ。あはっあはっあはっ。」
そこからの先生の話は、野間にとっては意外な内容だった。
(つづく)
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