しかし、酔いもあるのか、 本気でやめさせようとしているわけではない。にこにこして話し出すのを待っている。
それを受けて、師長が話し出した。
「あの山崎先生にね。山崎先生よ! しかも、今みたいなうなぎ犬じゃなくてさぁ。 ハイエナみたいにギラギラしてた頃のうなぎハイエナでさぁ。 俺の言うとおりにしろ!が口癖よ。」
師長も酔いが回ってきているようだ。話が回りくどい。
「そのうなぎがさぁ。お腹空いてそうだったから、 パイあげたのよ。うなぎパイ。アッハッハッハ!」
ダメだこりゃ。野間はがっくりとした。
すると、「ハイハイハイ!!」。 先輩が力いっぱい手をあげている。
しょうがないので、「はいどうぞ。」と指すと、 ばっと立ち上がって「あそれっあそれっ」と、 うなぎすくいならぬどじょうすくいの真似を始めた。
それを受けて、師長が話し出した。
「あの山崎先生にね。山崎先生よ! しかも、今みたいなうなぎ犬じゃなくてさぁ。
師長も酔いが回ってきているようだ。話が回りくどい。
「そのうなぎがさぁ。お腹空いてそうだったから、
ダメだこりゃ。野間はがっくりとした。
すると、「ハイハイハイ!!」。
しょうがないので、「はいどうぞ。」と指すと、
師長も一緒に始めたので、これはダメだと思っていたら、 藤さんが声をかけてきた。
「退散した方がいいわね。私は帰るわよ。」
そう言うので、野間も付いて出ることにした。
藤さんは、慣れたように店のおばあちゃんに、「つけといて。 それから、悪いけど、あっちは適当に外に放り出してちょうだい。 」そう言って出ていった。
野間は少し躊躇したが、うなぎをつかむ手つきで、 成宮の首を絞め始めた先輩を見て、迷わず外に出た。
「退散した方がいいわね。私は帰るわよ。」
そう言うので、野間も付いて出ることにした。
藤さんは、慣れたように店のおばあちゃんに、「つけといて。
野間は少し躊躇したが、うなぎをつかむ手つきで、
先に歩く藤さんに追いついて、横に並ぶ。 藤さんは目で確認することなく、そのまま話した。
「さっき、師長が言おうとしたことってさぁ。何か知りたい?」
「あっ、はい知りたいです!」
野間がそう答えると、ニヤッと笑って言った。
「私が山崎先生の頭をはたいたことよ。」
「え~〜!! 山崎先生の頭を!?」
「うふふっ。そうよ。あの先生、今は偉そうだけど、 私よりも五つ年下なのよ。」
「へぇ~。そうなんですかぁ。」
「そうそう。この病院に入ってきて、 まだ何年も経ってなかったかしら。 ESで呼吸が止まった患者を見て固まっちゃってね。 早く蘇生をしなさいってはたいてやったのよ。うふふっ。 まぁ勢いよね。」
「はははっ、なるほど。」
「それ以来、仲良くなっちゃってさ。うふふっ。 今日もあなたが来る前に飲んでいたのよ。あの店で。」
「そうだったんですかぁ。一緒に飲めなくて残念でした。」
そう言うと、藤さんは歩きながら考え込むように無口になった。 その雰囲気に押されて、野間も黙って歩く。
何か悪いこと言ったっけなぁと考えていると、 藤さんが口を開いた。
「いや、会わなくてよかったのよ。私も山崎先生もあの店じゃあ、 いくら飲んでも酔えないんだから。」
「あの店では酔えない? 酔えないのにつけにしてもらえるぐらい常連なんですか?」
「そうよ。」
野間が首をひねっていると、一息ついてから、藤さんが言った。
「あの店は、私達が死なせてしまった患者の実家なのよ。そして、 あの年配の女性が母親よ。」
「ええーーー!!!」
野間は思わず叫んでいた。
「さっき、師長が言おうとしたことってさぁ。何か知りたい?」
「あっ、はい知りたいです!」
野間がそう答えると、ニヤッと笑って言った。
「私が山崎先生の頭をはたいたことよ。」
「え~〜!! 山崎先生の頭を!?」
「うふふっ。そうよ。あの先生、今は偉そうだけど、
「へぇ~。そうなんですかぁ。」
「そうそう。この病院に入ってきて、
「はははっ、なるほど。」
「それ以来、仲良くなっちゃってさ。うふふっ。
「そうだったんですかぁ。一緒に飲めなくて残念でした。」
そう言うと、藤さんは歩きながら考え込むように無口になった。
何か悪いこと言ったっけなぁと考えていると、
「いや、会わなくてよかったのよ。私も山崎先生もあの店じゃあ、
「あの店では酔えない? 酔えないのにつけにしてもらえるぐらい常連なんですか?」
「そうよ。」
野間が首をひねっていると、一息ついてから、藤さんが言った。
「あの店は、私達が死なせてしまった患者の実家なのよ。そして、
「ええーーー!!!」
野間は思わず叫んでいた。
(つづく)