野間が「仲間がいなかった?」と返すと山田が答えた。
「いや。いたこともある。」
「それは小林さんですか?」
「いや。いたこともある。」
「それは小林さんですか?」
野間は、ようやく小林に辿り着いた気がして、身を乗り出した。
山田は不思議そうにしながらも、そうだと答えた。
ただし、スパイのコードネームであって、 本名は知らないと付け加えた。
野間はかまわず尋ねる。
「それで、小林さんとはどんなことをしていたんですか?」
すると、山田は、眉をひそめながら「電パチの拷問だよ。」 と静かに語った。
「拷問、ですか。」
「ああ。そうだ。俺達はスパイとして捕まって、 ここで拷問を受けていた。何度、 電パチで殺されると思ったか分からないよ。しかしな、俺達は、 それを耐え続けた。」
そして、誇らしげに顔を上げて、「俺達は戦友だ。」と言った。
山田は不思議そうにしながらも、そうだと答えた。
ただし、スパイのコードネームであって、
野間はかまわず尋ねる。
「それで、小林さんとはどんなことをしていたんですか?」
すると、山田は、眉をひそめながら「電パチの拷問だよ。」
「拷問、ですか。」
「ああ。そうだ。俺達はスパイとして捕まって、
そして、誇らしげに顔を上げて、「俺達は戦友だ。」と言った。
野間は複雑な気持ちだった。ESは治療を目的に行われたが、 受ける患者にとっては、 やはり恐怖の対象でしかなかったのだろうか。
ここで、野間には疑問が生まれた。
山田さんが信じているスパイの妄想は、 もともと持っていたものだろうか。それとも、 精神科病院に入院したことで起こったのだろうかということだ。
もしかして、精神科病院が妄想を作り出したとしたら。それは、 病院が加害者であることを指し示している。 そう考えると寒気が走った。
知りたくない気持ちと知りたい気持ち。それが交互に押し寄せる。
ここで、野間には疑問が生まれた。
山田さんが信じているスパイの妄想は、
もしかして、精神科病院が妄想を作り出したとしたら。それは、
知りたくない気持ちと知りたい気持ち。それが交互に押し寄せる。
野間は耐えきれず、「あっ時間だ!」そう言って、 慌てて病室を後にした。
小走りで病棟の廊下を抜け、 ガチャガチャとせわしなく入口の鍵を開けて外に出る。そこで、 ようやく息を吐いた。
小走りで病棟の廊下を抜け、
すると急に声をかけられた。驚いて顔を上げると星原だ。
「なんだよ。 鳩が豆鉄砲入りのゲロを投げつけられたような顔しやがって。」
「なんだよ。
(つづく)