野間は、脳の深く、芯の部分に麻酔を打たれたかのように、 脳全体がジンジンとしびれるような感覚になった。ショックで目の前がくらむ。
「難しいでしょ。」主任がそう言って、視線を向けてくる。
気づかれないように、かろうじて「そうですね」と答えた。
あの時から、一年以上が経つが答えは出ていない。というか、 そのことにまだ怖くて向き合えていない。
うつむく野間を見て、先輩が言った。
「小林さんのことね。退院支援について考えているんでしょ。」
野間は、ハッとして顔を上げた。
「何で分かったんですか?!」
「当たり前だのクラッカー。そりゃ分かるわよ。いい? 前にも言ったと思うけど、室長語録によれば、 クライエントを理解するには、クライエントの過去、 歴史を理解することが必要よ。古い患者さんの多くは、 ESを受けていたの。小林さんもESを受けていたのでしょう。 ESは入院患者にものすごい影響を与えたわ。良くも悪くもね。 ESを理解することは、小林さんを理解する一歩になると思うわ。 」
「小林さんのことね。退院支援について考えているんでしょ。」
野間は、ハッとして顔を上げた。
「何で分かったんですか?!」
「当たり前だのクラッカー。そりゃ分かるわよ。いい? 前にも言ったと思うけど、室長語録によれば、
野間はうなずいた。けど、どう理解すればいいのか。
それを察して、先輩が言った。
「言っとくけど、私に聞いたって分からないわよ。 当事者に聞きなさい。当事者にね。もちろん、 患者自身だけが当事者じゃないわよ。」
そう言って笑った。
それを察して、先輩が言った。
「言っとくけど、私に聞いたって分からないわよ。
そう言って笑った。
野間にはすぐに思い浮かぶ顔があった。
野間は、急いで立ち上がり病棟に向かった。
野間は、急いで立ち上がり病棟に向かった。
(つづく)
ブログランキングに参加しています。
押して頂けると嬉しいです。
0 件のコメント:
コメントを投稿